イラストを描く時、ぼんやりとしたイメージを確かなものにするために、多くの人が大雑把なあたりやラフ画から描き始めると思います。私もその1人です。
ですが完成を急ぐあまり、このラフ画の工程を適当に済ませていませんか?
ラフ画が疎かだと、清書の段階で修正が増えて余計な時間がかかるだけでなく、時間をかけて描いたにもかかわらず出来栄えがいまいちになることがあるのです。
かくいう私も適当にラフ画を終わらせてしまいがちで、線画や色塗りの段階で苦労しています……。
今回は、ラフ画の意味や描くときのポイントを整理しながら、実際に描いて練習してみたいと思います!
ラフ画の意味と下書きとの違い
ラフ画と下書きの違いは曖昧ですが、ラフ画は形のないものを形にする工程、下書きはおぼろげなイメージをはっきりとしたものにブラッシュアップする工程だと考えています。
「何かイラスト描きたいな~こんなポーズをしている女の子は可愛いかな?」とふわっとイメージを描きだすのがラフ画
「スカートのフリルはこんな形でリボンはこの形が可愛い」とラフ画をより具体的に描き進めるのが下書き
ラフ画はイラストの設計書?ラフ画のメリット
ラフ画を描く大きなメリットは
だと思います。
ラフ画はイメージを描きだす工程なので、思い浮かぶ構図を思いつくままに描いてみたり、少し違う構図を試してみたり、全体を見てバランスを整えたりと、行ったり来たりを繰り返して試行錯誤ができる工程ともいえます。
また、最初に思いついた構図がイラストにとって一番魅力的な構図とは限りません。同じテーマで何枚もパターンを描きだしてみましょう。
そして、ラフ画では修正するデメリットがありません。変形ツールなどを使って大胆に変更を加えるのもこの工程なら可能です。
このように、イラストを描く前に持っている漠然としたイメージを形にすることがこの工程での目的になります。
つまり、イラストの設計書のようなものだといえます。
ラフ画を描くときのポイント
ラフ画はとにかく時間をかけずに素早く描くことが大事。細部の書き込みは置いておき、必要なものだけ描くことを心掛ける必要があります。
・構図
・バランス
・レイアウト
・表情
・ポーズ など
上記のような、絵の大部分を決める要素をざっくり描いていくイメージだと思います。
また、浮かんでいるアイデアもメモとして書き込んでおくと、見直したときに完成イメージを想像しやすいかもしれないです。
実際にラフ画を描いてみる!~大雑把に描きたいイメージを固める~
では実際にラフ画を描いていきましょう。お題は「泣きながら笑っている女の子」にします。
まずは大雑把に描きたいイメージを固めようと思いますので、5分以内を目安にいろいろなパターンを描いていきます。・・・・・が、5分だと流石に汚すぎて載せられなかったので、+15分追加して1枚あたり20分で3枚描きました。
漠然としたお題だったこともあり、方向性がバラバラなのが分かります。最初の1枚でラフ画を止めていたら2枚目、3枚目は生まれていなかったことになるので、パターンの描き出しは有効に思います。
こうして並べてみると、女の子が抱えている事情がどれも異なっていて見比べると面白いですね。
ただ、シチュエーションがバラバラすぎて単純な比較は難しいので、今回はこの中で気に入った3枚目に絞って、さらに別の構図を描いてみました。時間も同じ20分程度です。
1枚目は正面、2枚目は少し斜めの角度から、3枚目は横顔のバストアップです。
3枚目はバストアップにしてみましたが、体もしっかり描いてあった方が場面描写としては良いように感じますね。情報量も少なくなりがちですし、個人的にはいまいちです。
となると、1枚目か2枚目から選んでいこうと思います。最初に描いた1枚目も、立体感のある2枚目もどちらも好きなので選び難いですが、今回は2枚目を元に描き込みを増やしていこうと思います。
実際にラフ画を描いてみる!~描き込み~
先ほど描いたラフ画の3枚目を元に下書きができる程度まで描き込みをしました。
大分いい感じになったのでは……!
この時点で背景の書き込みもした方が全体感がつかめそうですね。
さて、ここまできたら下書きを通り越して清書に入れそうなものですが、まだやることは残っています!そう、「下塗り」です!
実際に色を入れることでさらに完成イメージへ近づけるそうです。ということで、次回は「下塗り」をしていきます!
まとめ
ラフ画の段階だと手間はそこまでかからないので、色々アイデアを練られるのが良いですね。どう描いたらこのイラストが魅力的になるか、深堀ができます。大胆な修正も可能ですし、没になっても痛手にはなりません。
ただ、ラフ画はあくまで設計段階。悩んだ挙句、時間をかけすぎるのは元も子もありません。迷ったら別の構図を試す、色んなイラストを見て参考にする、他の作業をして息抜きをする、などあまり根を詰めすぎないようにしたいものです。
納得のいく1枚を完成させるために、しっかりラフ画を練りましょう!